【学校コラム】大学生がキャリアを学ぶ意味を考える（Ⅲ）キャリアプランニング｜個人と組織の課題解決のためにー「NKSソリューション・プログラム」

前回コラムで、 「ライフキャリアとワークキャリア」について考え、自分自身で動機付けし、キャリアプランニングをしていくことが重要だと述べました。しかし、「キャリアプランニング」はどうのようにしたらいいの？　という声も少なくありません。大学生のみならず新入社員ですら、キャリアプランニングについての理解を持たないまま仕事に就いているのが実状かもしれません。

そこで今回は、「キャリアプランニング」について考えてみたいと思います。

 

(1)キャリアプランニングの概念

「自分の価値観や職業意識を明確にし、自分の欲求・動機・夢を自覚し、自分の“意欲と能力”を活かした働き方・生き方を計画的に追求する」こと

 

(2)キャリアプランニングの考え方

キャリアプランニングの基本となる５つのプロセス要素を、まず理解しましょう。

 

■キャリアプランニングの５つのプロセス要素

①自分を、ビジョンという観点から把握する

　　⇒　自分にとって本当に大切なものの把握、どのような働き方をしたいのか、を明確にする

②自分を、多角的に見つめなおす

　　⇒　さらに、自己特性、外的影響等、多角的に分析し把握する

③スキルを見つめなおす

　　⇒　自分の現在のスキル（知識や修得したことを活用できる力）について分析し把握する、またビジョンに対

　　　　する優点・ギャップも把握する

④アクションプランをつくる

　　⇒　ビジョンを達成するために必要なこと、すべきことを、具体的に策定する

⑤プランを実行する

　　⇒　強い意志を持ち、自分を励まし、諦めずに行動する

 

このようなプロセス要件を実践することがキャリアプランニングですので、大学生には、この５つのプロセス要素を「個人が自分で選択、決定をして、構成していく」形で、大学4年間をかけて経験し、社会参画して行っていただきたいと思います。

また、「キャリアプランニング能力＝生き方や働き方を自覚的・自立的に選択、策定、実行できる能力」を身につけるためには、「社会に、主体的・自立的に関わっていくには？」という個々人の課題意識が必須となります。

 

　◇私たちは、社会に関わって生きている、生きていく

　◇私たちは、社会に関わらないという選択肢はない

　◇私たちは、社会にどう関わって生きて来たのか？　生きていくのか？

 

このようなことを4年間の大学生活を通して意識しながら、自分と向き合い、自分の将来像・目的を模索していくことが、キャリアを学ぶことの重要なポイントとなります。

 

(3)キャリアプランニングに活かすGROWモデル:ジョン・ウィットモア(John Whitmore/コーチング理論家）

GROWモデルとは、コーチングの基本モデルで「受身ではなく、自主的な改善を図る」際に役立つ考え方です。

下記の５要素を構成して考えていきますが、まさにキャリアプランニングのプロセス要素に合致しているため、活用しやすいプランニング方法だといえます。

 

■GROWモデルの５要素

　①G＝Goals（ゴール）「目標の明確化」・将来のビジョン、成りたい自分、夢、目的設定

　②R＝Reality（リアリティ）「現状の把握」・今の自分、能力、スキル等の現状把握

　③R＝Resources（リソース）「資源の発見」・資源、資源の発見、自分の源泉・価値観・基軸の確認

　④O＝Options（オプション）「選択肢の創造」・選択肢の創造、視野の拡大、改善策、行動計画の策定

　⑤W＝Will（ウィル）「目標達成の意志」・意思確認、強い意志

 

GROWは、言葉が示すとおり、まず「G（ゴール）＝目標の明確化」から始め、それに対する「R（リアリティ）＝現在の自分」と「R（リソース）＝自分が得られる資源」を探求し、「 O（オプション）＝選択・構築」を具体化し、実行していく、という考え方です。

大学生は、あらためて「何のために何を学ぶか」を考える必要があると思われますが、そのためにも、ぜひこの「GROWモデル」に当てはめて具体的に考え実行することで、 ４年間のキャンパス生活や学びを「目的を持ったもの」にしていただきたいと思います。

その経験値は、大学生活のみならず、就職活動や就業後にも必ず活きていきますので。

 

 

次回は、キャリアを考えキャリアプランニングするために役立つ「キャリア理論」について、考えていきます。

 

文責：NKS能力開発センター　恵　大介