【企業コラム】新入社員教育について考える(Ⅳ)
前回、新入社員の社会人基礎力を身につけるには、内発的動機づけが大切であることについて述べたが、内発的動機づけ研究の第一人者である、アメリカの心理学者エドワード・デジ博士は、以下の3つが本質であると言っています。
1.自分の行動を自分で選ぶ自律性
2.自分が役立っているという有能性
3.誰かと結びついていたいという関係性
各々について詳しく述べてみます。
自律性とは、自ら行動を選び、主体的に動きたいという欲求です。目標の押しつけ、締め切り、監視、統制とは無縁のものです。
例えば、自律性が養われた新入社員は、遅刻もせず、仕事に慣れるが早く、工夫して仕事に取り組みます。一方、強制的に仕事を押しつけられていると捉えている新入社員は、もともと自律的な考え方を持っているとしても、自分の選択権がなくなると感じるため、仕事に取り組む意欲は急激に低下していきます。
したがって、新入社員に影響を与える立場にある職場の上司や先輩は、自律性を奨励するスタンスをとり、加えて、どのようにしたら、より多くの選択肢を提供していけるか、常に考え、教示していくことが、内発的動機づけを高めるうえで大切になってくるのです。
次に、有能感とは、「自分はできる」という感覚のことです。これは、自分の好きなこと、やろうと思ったことについて、自分自身の考えで活動し、達成に向けて努力していくことが最適な挑戦であると認識されるときにもたらされます。 新入社員の場合でも、取るに足らないやさしいことができても有能感を感じることはできず、達成に向けて意欲的に取り組むとき、自分にとって意味ある挑戦を見つけ、ベストを尽くすときに、それは、感じることができます。
新入社員の上司や先輩としては、意味のある挑戦であることを新入社員に意識させ、その成果とかプロセスをほめるといったフィーバックを行うこが大切なのです。
最後に、関係性とは、上下関係を超えた関係のことです。互いに相手を理解しあい、思いやり、信頼しあうことは、力を発揮する土台として大切で、それがなくなると、痛みや悲しみ、さらには、やる気の喪失をもたらしかねないのではないのでしょうか?
上記の3つ(自律性、有能感、関係性)が相互に、関連しあうことによって(もちろん、新入社員の場合もあてはまります)行動に結びつく内発的動機づけをアップさせることができると結論づけても過言ではありません。
文責:NKS能力開発センター 笠毛 昭彦
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- 2016年2月15日
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