【企業コラム】新入社員教育について考える(Ⅲ)
前回は、動機づけのなかでも、外発的動機づけについて述べてきましたが、新入社員教育における、もう1つの内発的動機づけについても考えてみます。
やる気をアップさせるためには、「内発的動機づけ」が重要であるということは、昔から、しばしば指摘されているところです。
1960年代に包括的な概念化が行われたあと、外的報酬やその他の要因に絡め、その条件やメカニズムの解明が行われてきました。
内発的動機づけとは、賞罰などの外的な強制力がない状態で自らを動機づけすることで、行動そのものによってもたらされる達成感や充足感を大切にしていくということです。
人を伸ばすこと、とりわけ、新入社員の育成にあたっては、行動することによる楽しさや満足感を植えつけていくことは、きわめて大切であるといえます。
言い方を変えると、職場の上司や先輩が、内発的動機づけを高める働きかけを適切に行っていくことが、新入社員の社会人基礎力アップに大切なのです。
要するに、新入社員にとって、内発的動機づけとして大切なことは、
1.たとえ、自分の従事する仕事が、全体の中で、取るに足らないと思えることであったとしても、仕事の全体像を
しっかりと理解していること
2.自分の役割を理解し、やりがいをもって行っていること
3.組織・チームの全体目標に貢献していると自覚していること
4.お客様や仕事に係る人に満足を与えていると認識していること
などを、自発的な思いによって、喚起させることが重要なのです。
さらに言えば、新入社員が、課題を自分で、設定してそれを達成しようとするような状況において、自分が中心となって自発的に思考し、問題を解決していきます。また解決によってもたらされる達成感こそが、動機づけとなり得るのです。新入社員に、挑戦的、選択的な状況を想定して問題解決をさせることが、結果的には、内発的動機づけとなり、社会人基礎力を育てていくことになるのです。
次回は、内発的動機づけの研究の第一人者である、アメリカの心理学者エドワード・デジ博士の、内発的動機づけのポイントについて触れてみます。
文責:NKS能力開発センター 笠毛 昭彦
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