【学校コラム】大学生がキャリアを学ぶ意味を考える(Ⅱ)ライフキャリアとワークキャリア
キャリアを学ぶことは、自分自身のライフ・キャリアを充実したものにするための、いわば人間力を高めていく土壌を肥沃にするための糧を得るものです。その糧は多々ありますが、まずは「自分の人生への眼差し」をきちんと持つための糧を手にしてほしいものです。
そこで今回は、私たち自身の「ライフキャリアとワークキャリア」について考えてみたいと思います。
(1)ライフキャリアとワークキャリア
・Lifeキャリア: 人生展開
・Workキャリア: 働くことを中心にした展開
大学生活から将来を考えた場合、「就学状態 ⇒ 就業状態 ⇒ 離業状態」といったプロセスを俯瞰することになりますが、就学状態~離業状態までの全体を「ライフキャリア」、その間の就業状態を「ワークキャリア」と捉える必要があります。つまり、キャリアとは「ワーク部分=働く・仕事・職業」だけのことだけではなく、「ライフ=人生全体」の概念であると、まず理解しなければなりません。よく学生は、キャリア=職業、と捉えがちですが、「キャリア≠職業」と捉え直すことが必要で、かつ下記のような区分理解が望まれます。
◇キャリア=「個人から独立して存在しえない」もの・・・個人が自分で選択、決定をして、構成していくもの
◇職 業=「個人から独立して存在しえる」もの・・・個人とは関係なく社会に存在し、客観的に分類、比較、
選択することが可能なもの ex)金融業、経理職等
(2)「ワークキャリア」のステップ
では、大学生にとって直近なため眼が釘付けになりがちな、「就業状態=ワークキャリア」を考えてみましょう。ワークキャリアは、下記のような5つのステップを踏んでいきます。
①準備期=「社会的・職業的自立」の基盤になる能力、態度を育む時期(小・中・高・大)(成人への過渡期)
↓
②参入期=新規学卒して職業への移行を果たす時期(大人の世界に入る時期~三十歳の過渡期)
↓
③発展期=職業生活での葛藤、見直し等を要する節目の時期(人生半ばの過渡期~五十歳の過渡期)
↓
④円熟期=定年を考慮し始める時期、セカンドキャリアへのデザイン時期(五十歳の過渡期~中年の最盛期)
↓
⑤引退期=セカンドキャリアへの移行期(老年への過渡期)
大学生は、①②を経験して社会参画していくわけですが、この5つのプロセスは「個人が自分で選択、決定をして、構成していくもの」でありたいものです。そのためには、特に①の準備期(まさに今!)に「社会に、主体的・自立的に関わっていくには?」という個々人の課題意識を持つことが必須となります。
◇私たちは、社会に関わって生きている、生きていく
◇私たちは、社会に関わらないという選択肢はない
◇私たちは、社会にどう関わって生きて来たのか? 生きていくのか?
このようなことを意識しながら、自分と向き合い、自分の将来像・目的を模索していくことが、キャリアを学ぶことの重要なポイントとなります。
(3)個々人に「新しい生き方・働き方」が求められている
キャリアを考える際には、ライフ=人生全体を考えながら、ワーク部分=働く・仕事・職業・プロセスを考える、という両視点が必要になりますが、特に「4つの生活(Life)の並立と充実」が大切なテーマとなります。
「職業生活」 「家庭生活」 「社会生活」 「自分生活」
大学生は、今は「自分生活」と「家庭生活(子としての)」が主ですが、もう間もなく「職業生活」や「(結婚・出産などの新たな)家庭生活」を経験し、それらを包含する形で「社会生活」を再認識・構築していくことになると思われます。
その際にぜひ意識して欲しいのが、下記2つの「今日的なワークキャリアのテーマ」です。
◆自主性・自立性を前提にした生き方、働き方・・・多様な生き方・働き方を自主的・自立的に選択する個人
◆会社主義から解放された生き方、働き方・・・職業生活のみに自己を埋没させることのない個人
そして、そのためには、以下の4つが要件となります。
①自立意識、社会化意識を持つ
②自由と自己責任意識を持つ
③自身で動機付け、行動する
④キャリアプランニング能力を持つ
大学生が、キャリア教育で学び得てほしいことは、この4つの要件に他なりません。
次回は、大学生活の目的設定や将来ビジョン探求に必要な「キャリアプランニング能力」について、考えていきます。
文責:NKS能力開発センター 恵 大介
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