【学校コラム】大学生がキャリアを学ぶ意味を考える(Ⅰ) キャリアを学ぶ意味
キャリア教育、就業力教育は、多くの大学で定着しつつありますが、一方で企業からは「キャリア教育を受けてきたの? と首をかしげるような新入社員も少なくない」という声を耳にします。企業研修をしている中でも「実際の社会現場を知らない新卒者だから」なのか、「就活のためのものという意識しかなかったから」なのか、「働く目的、動機が希薄」な新入社員が散見されています。
そこであらためて、大学生が「キャリアを学ぶ意味」を考えてみたいと思います。
(1)キャリアの意味とは?
「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖、及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」
(「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」2004年1月)
これは、キャリアについての汎用的な定義ですが、以下の4点を意味しています。
①人生を構成する一連の出来事
②自己発達の全体の中で労働への関与として表現される職業と、人生の他の役割の連鎖
③青年期から引退期に至る報酬、無報酬の一連の地位
④学生や雇用者、年金生活者等の役割や副業、家業、市民の役割も含まれる
つまり、キャリアとは、「家庭や社会における様々な役割の経験を積んでいくこと」 であり、それらを通じて「社会的・職業的に自立していくこと」であると言うことになります。
このことを、「ライフキャリア・レインボー」という概念で表してみると、より分かりやすくなります。
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《ライフキャリア・レインボー》(ドナルド・E・スーパー Donald E Super/心理学者)
①子供・・・親との関係における、子供としての自分
②学ぶ人・・・学生としての自分、社会人として自己啓発し学び続ける自分
③職業人・・・企業人、公務員、自営業等々、職業人としての自分
④家庭人・・・独立生活、家事全般、介護、育児等々、家庭での役割を担う自分
⑤配偶者・・・夫、妻、生活上のパートナーとしての役割を担う自分
⑥親・・・子供をもった時から始まる父・母としての役割を担う自分
⑦市民・・・社会ボランティア、社会貢献等の役割を担う自分
⑧余暇人・・・趣味、スポーツ、好きな事、等々に取り組む自分
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「人生における各役割の経験の積み方で、個々の『キャリア・レインボー』(8つの役割=8色の虹)ができる」ということですが、キャリアの主眼である「社会的、職業的に自立していく」ためには、この「キャリア・レインボーを構成する“人生における各役割”を、主体的にどう生きるかを考えることが不可欠」であることを、まず知る必要があるのです。
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「大学生時代に、キャリアについての考え方を学ぶ」ことの必要性は、この「学ぶ人=大学生としての自分」の役割を主体的に考えるためにある、と言えるのです。
(2)「キャリア」を学び考えるうえでの視点
大学生が「キャリア」を考える際には、以下の3点が必要です。
①仕事や職業生活に限定しない
②「仕事、働くこと、就職のことなんてまだ先のこと」と先送りしない
③大学に入った目的をしっかりと意識する、あるいは、新たに大学生活の目的を設定する
・○○な生き方をしたい
・そのために、教養を広げ、専門性を身につけ、仕事を通して近づきたい
・さらに、必要な資格を取りたい、スキルを高めたい
・留学したい、世界を目指してみたい
・友達をいっぱい作り、人間関係を広げたい
・また、サークルに入って頑張ったり、興味あることに挑戦して、大学生活を有意義に過ごしたい
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「このような夢や希望を、どうやって実現させていくか。そのために大学生活をどう過ごし、活かすか」を考えることが、キャリアの学びになるのだと思います。
「大学生にとってのキャリア」に必要な基礎要件について、今後、数回にわたり考えていきます。
文責:NKS能力開発センター 恵 大介
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