【企業コラム】新入社員教育について考える(Ⅱ)
新入社員の「やる気」をどのようにして高めていくか、心理学をベースに考えていきます。やる気は、心理学用語では、動機づけ=モチベーションといいます。
人間を含めた動物が、行動するには、何らかの理由が存在するものであります。行動に駆り立てるきっかけを「動機(欲求)」といい、その行動が向かう方向を「目標」と呼びます。「動機」によって行動が起こり、適切な「目標」へと向かいます。すなわち、動機づけとは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程、機能であります。
「ゆとり世代」、「さとり世代」の新入社員が、
1.大きな夢や望みをもたない
2.無駄な努力や衝突は避ける
3.ネット情報からの知識が豊富で、合理性を重んじる
4.ルールはキチンと守る
なら、どのように目標を持たせるか、行動を起こすきっかけをどう持たせるのか。
目標を達成していくために、何をどのように維持していけばよいのか、これらについて、深く考える必要があります。
やる気を引き出す動機づけは、大きく2つにわけることができます。外発的動機づけと内発的動機づけです。
外発的動機づけとは、主として外からの力によって、動機づけされることを言います。
すなわち、外発的動機づけに基づいた行動は、何らかの目的を達成するために、義務、賞罰、強制などによってもたらされるものです。たとえば、新入社員が上司から、「あれやれ」、「これやれ」と言われる。この種の動機づけは、新入社員にとって、教育上、いくつかの問題点を内在しています。
短期的に考えると、外発的動機づけは、有効かもしれませんが、外部からの力によって動機づけられるということから、段々、自分で考えず、上司・先輩への依存的傾向が強くなりがちになります。たとえば、新入社員が、賞というニンジンがあるから、やるというのなら、いつも、賞を用意しなければなりません。
さらには、行動が手段的行動になってしまい、望ましくない行動が引き起こされる可能性が出てきます。たとえば、新入社員の場合、ニンジンを得られるのなら、手っ取り早い最短の方法を選ぶとか、場合によっては、コンプライアンスに反する行動をとることも考えられます。また、ニンジンを得られないとわかった時点で、最適行動をとらなくなるということも考えられます。
人の意欲と能力を伸ばすために必要なことは、義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけ(外発的動機づけ)だけでなく、課題に自発的に取り組む内発的動機づけが重要であることが近年の心理学の研究で実証されています。
次回以降は、新入社員教育における内発的動機づけの重要性について述べていきます。
文責:NKS能力開発センター 笠毛 昭彦
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